債務整理
債務整理とは
借金を返済できなくなった場合に、借金の減額免除や、無理のない返済内容に変更してもらう手続きです。
裁判所を使う法的整理と、裁判所は関わらない任意整理があります。それぞれメリットデメリットがありますので、相談者の状況に応じて、適切な方法を提案します。
当事務所が受任し、受任通知(弁護士が介入し、債務整理を始めたという通知)を送ることで、貸金業者からの取り立ては止まります。
「貸金業者からの取り立てがつらい」という方は、早めのご相談をお勧めします。
その他、「借りたものはなるべく返したい」というお気持ちの方も、依頼者の希望に合う手続きを弁護士と一緒に考えましょう。
債務整理には主に破産、個人再生、任意整理がありますが、手続きの具体的な内容は相談に来所していただいた際にご説明いたします。
破産(法的整理)
裁判所に申立て、裁判官の判断で免責(借金を返済しなくてよいという判断)を得る手続きです。
借金を返済しなくてよくなり、債務整理の中では一番効果が大きいのですが、借入原因が浪費やギャンブルの場合、免責不許可になる可能性もあり、常に選択できるわけでありません。その他、不動産等高額財産は維持できない、手続き中就業できない職業(制限職種)があるといったデメリットもあります。
※その場合、下記の個人再生を選択できることもあります。
高額財産を所有している場合や、借入原因のうち浪費やギャンブルの割合が多い場合には、財産調査や借入原因の調査のために管財人が就くことがあります。管財人とは、破産をする人の財産や借入原因を調査する人です。
■ 破産手続きの流れ
受任(この段階で取り立ては止まります)
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債権調査
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申立準備
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申立て
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管財人と面談
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債権者集会
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免責
個人再生
裁判所に申立てをし、裁判官の判断で借金が5分の1程度に減額され(借金の残額によって異なります)、それを3年から5年かけて返済する手続きです。
破産と異なり、借金の一部は返済する必要がありますが、手続き中就業できない職業(制限職種)がなく、浪費やギャンブルが借入原因の多くを占めていても選択できることもあります。
■住宅ローンがある場合
住宅ローンを組む場合、通常は購入した土地と建物に抵当権を設定します。
抵当権とは、住宅ローンを返済できなくなった場合に土地や建物を売却されてしまうものです。
破産の場合は、この抵当権というものがあるため、原則購入した土地や建物を処分されてしまいますが、個人再生の場合は、住宅ローンはそのまま支払い続けることで土地と建物を維持できる特別の制度があります。
そのため、借金の返済が苦しいけど、住宅は維持したいというかたにはメリットがある手続きです。
※住宅の維持には要件があり、常に住宅を維持できるわけではありません。
■個人再生手続きの流れ
受任(この段階で取り立ては止まります)
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債権調査
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申立準備
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申立て
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再生計画案(返済計画)の作成
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裁判官による再生計画認可
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減額された借金を返済(3年から5年)
任意整理
債権者と交渉し、将来金利をカットしてもらい、借金の元金を3年から5年の長期分割で返済していく和解をする手続きです。
破産や個人再生のように借金の免責や大幅な減額になることは少ないですが、裁判所への申立が不要で、高額財産も原則維持できます ※1。
また、浪費やギャンブルが借入原因でも利用できる手続きです ※2。
破産や個人再生と異なり、債権者を選んで手続きをすることができるので、例えば、自動車ローンには非介入にすることで自動車を維持することも可能といったメリットもあります。
過払金 ※3が発生するような借入の場合は、借金が大幅に減額され、場合によっては借金がなくなり過払金を取り戻すことができることもあります。
ただし、どのような条件で和解をしてくれるかは債権者ごとに異なり、業者によっては将来金利を主張されたり、分割回数が短かったりするため、借入の状況によっては、あまり効果がない場合もあります。
※1 自動車ローン、その他、高額な買い物のローンが残っている場合
自動車等の高額商品をローンで購入した場合、ローンを完済するまでは商品の所有権を債権者が留保していることがあります。
その場合、その債権者に債務整理の通知(受任通知)を送ると、商品を返すよう言われることがあります。
これを、「引き揚げ」と呼んでいます。
破産や再生の場合は、すべての債権者に受任通知を送る必要があり、引き揚げを避けられないことも多いのですが、任意整理は債権者を選んで手続きをできるので、高額商品のローンを組んだ債権者への介入をしないことで、商品を引き揚げられるリスクを減らすことができます。
※2 カードの利用規約に違反した借入の場合は、和解条件が悪くなる場合や、和解自体できないことがあります。
※3 過払金については下記参照
■任意整理手続きの流れ
受任(この段階で取り立ては止まります)
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債権調査
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和解交渉・和解
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返済(一般的には元金を3年から5年)
過払金返還請求
■過払金とは
利息制限法で決められた制限金利(15%から20%)を超えて余分に金利を支払っていたものを取り戻す手続きです。
利息制限法には罰則がなく、かつては(平成20年ころまで)、多くの貸金業者がこれに違反した金利で貸付をしていました。
平成20年より前からキャッシングをしている場合は、過払金が発生している可能性があります。クレジットカードを返却済み、または、破棄、紛失していても手続きは可能です。
正確な取引期間が不明でも手続き可能です。
過払金返還請求は、取引終了から10年で時効になります。相談はお早めに。
時効援用
借金を原則5年間(会社からの借り入れの場合)返済していない場合は、時効で返済する必要がなくなる場合があります。
その場合は、時効援用という手続きで借金をなくすことができる可能性があります。
時効の可能性がある場合は、貸金業者に対して返済約束や支払い自体をせずに、お早めにご相談ください。
返済約束や支払いをすると時効を使えなくなる可能性があります。
時効には要件があります。5年間の滞納がすべて時効になるわけではありません。
また、会社以外からの借り入れ、裁判を起こされ判決が確定しているなどの場合は、時効期間は10年になる可能性があります。